スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

積分漸化式について

過去に某所で書いた記事の転載です.
古い入試問題ですが,以下の典型的な問題をみてみます。

ⅰ)1974年東京医科歯科大学
数列{a_n}{n=0,1,2…}を次のように定義する。
a_n=∫[0,π/2](sinx)^ndx
(1)n≧2に対し,a_n=(n-1)/n * a_(n-2)を示せ。
(2)n≧1に対し,na_n*a_(n-1)の値を求めよ。
(3)a_nはnに関して単調減少することを示せ。
(4)lim[n→∞]n(a_n)^2を求めよ。

(3)までは典型的なので省略します。
問題は(4)ですが,これを(3)を無視して考えると,

一般項はよく知られているように,
nが奇数のとき,a_n=(n-1)!!/n!!
nが偶数のとき,a_n=(n-1)!!/n!! *π/2
ですから,(2)の結果から
n{a_n*a_(n-1)}=π/2 よりn=(π/2)*(a_n*a_(n-1))^(-1)なので
n(a_n)^2=(π/2)*(a_n/a_(n-1))となり,
n=2k+1とすれば
(2k+1)(a_(2k+1))^2=((2k)!!/(2k+1)!!)*(2k!!/(2k-1)!!)…☆
となり,結局
Π[k=1,∞]{(2k)!!}^2/((2k+1)!!*(2k-1)!!) を求めることに帰着されますが,
(n=2k+2の場合はおいといて)
これを直接求めることは(高校数学では)不可能で,別の方向性を考えることになります。

そこで(3)を利用するのですが,
(3)からa_n自体がnに関して単調減少していることがわかります。
なぜならば,0≦(sinx)≦1であるから,(sinx)^n≦(sinx)^(n-1)よりa_n≦a_(n-1)だからです。
従って,
{n/(n+1)}(n+1)(a_n)*(a_(n+1))≦n(a_n)^2≦n(a_n)*(a_(n-1))
より挟み撃ちの原理から(4)の極限値はπ/2となり,よって
Π[k=1,∞]{(2k)!!}^2/((2k+1)!!*(2k-1)!!)=π/2 であることも導かれます。

この結果自体はウォリスの公式としてよく知られたものであるし,
問題自体も典型的で易しいものですが,それは(3)の誘導で
「不等式評価せよ」という指示があるからです。
仮に(3)がなければ,「普通は」不等式評価に行き着くよりも☆を直接求めようとするでしょう。
基本的に極限を求める問題で挟み撃ちの原理を用いる場合には,
①解けない漸化式パターン(平均値の定理を利用するもの)
②ある区間でf(x)≦g(x)≦h(x)が成立しているとき,∫f(x)dx≦∫g(x)dx≦∫h(x)dx
が成立することを利用するもの
というパターンを除けば,大学側が指示する問題が大半です。
①の典型的な問題はhttp://server-test.net/math/php.php?name=tokyo&v1=1&v2=2005&v3=1&v4=3&y=2005&n=3 (2005年東大前期)です。
ただ,②についても基本的には誘導がつくことが大半で,
東京医科歯科大学の問題のように,②の発想ができれば十分で,自分で②の発想を用いなければならないという問題はあまりないように思われます。
(注)http://server-test.net/math/php.php?name=tokyo&v1=1&v2=1990&v3=1&v4=1&y=1990&n=1 1990年東大前期1番のようにあからさまに積分系であるものは除きます。

が,②を自力で持ち出さなければいけない問題も出てはいることは事実なので,いくつかの問題を取り上げてみようと思います。

次の(ⅱ)は比較的穏やかな難易度です。

ⅱ)2010年東大前期 注:(2)はやさしいので略
(1)すべての自然数kに対して,
1/(2(k+1))<∫[0,1](1-x)/(k+x) dx <1/(2k)
が成立することを示せ。

(2)よりも(1)のほうが難所なのではないかと思います。
解答としては

1/(k+1)≦1/(k+x)≦1/k (0≦x≦1) より
∫[0,1](1-x)dx=1/2 と合わせて(1)の不等式を得る,

というだけの問題ですが,東大では珍しくノーヒントなので,思いつかない人は思いつかないでしょう。出来もなかなか悪かったようです。普段から②を意識していないとスラスラとはいかないでしょう。

ただ実際のところ,本問もよくある問題のように
f(x)=(1+k)/(k+x) - 1 , f(0)=1/k ,f(1)=0 であることから
「三角形の面積で積分値を評価する」という発想で解く事は可能です。
計算が少し面倒ですが,この発想は07年東大前期理系6番でも要求されており,
この発想で解きにいくこともアリだとは思います。

(参考)
10年別解 http://www.riruraru.com/cfv21/math/tum10f2.htm
東大前期07年 http://www.riruraru.com/cfv21/math/tum07f6.htm

次の問題は少し難しいです。

ⅲ)1994年京大理系後期
I_n=∫[1,e](logx)^ndx で定める。
(e-1)/(n+1)≦I_n≦((n+1)e+1)/(n+1)(n+2)
を示せ。

とりあえず漸化式を立てれば
I_(n+1)=e-(n+1)I_n  となり,この漸化式を用いてI_nを上下から評価することになります。

原題は何のヒントもないので,②の原則にしたがって考えれば
(logx)は1≦x≦eの範囲では0≦logx≦1です。故に
0≦I_(n+1)≦I_n≦…≦I_1=1 がいえます。

すると (e-I_(n+1))/(n+1)=I_n で I_n≦1 なので(e-1)/(n+1)≦I_n がいえます。
更に
I_(n+2)=e-(n+2)I_(n+1)=e-(n+2)(e-(n+1)I_n)=-(n+1)e+(n+1)(n+2)I_n なので
I_n={(n+1)e+I_(n+2)}/{(n+1)(n+2)}≦((n+1)e+1)/(n+1)(n+2) がいえます。

②の原則が頭になければ手も足も出ないでしょう。ノーヒントでI_n≦1を利用しろ,というのはなかなか酷だと思います。

ⅳ)2000年京大理系前期
c_n=(n+1)∫[0,1]x^ncosπxdx (n=1,2,…) で数列{c_n}を定める。
lim[n→∞]c_nを求めよ。

漸化式を求めると
c_n +1=(-π^2/(n+2)(n+3))c_(n+2)
という二飛びの漸化式が得られます。 しかし当然これだけでは求められないので
②の性質を用いれば,
0≦x≦1の範囲で 0≦x≦1, 0≦cosπx≦1 であり,0≦x^n≦1なので
0≦(n+1)∫[0,1]x^ncosπxdx ≦(n+1) つまり
0≦c_n≦(n+1) がいえます。 
故に0≦c_(n+2)≦(n+3)なので漸化式からc_n+1→0が導かれます。

ⅴ)1984年姫路工大
I_n=∫[0,1]x^n*e^xdx (n=1,2,…)と定める。
e/(n+2)<I_n<e/(n+1) を示せ。

東大京大の問題ではないですが,誘導がないとなかなかの難問です。

漸化式を求めると
I_(n+1)=e-(n+1)I_n
(x^n*e^x)≦1 ではないので困るところですが,
とりあえず0≦(x^n*e^x)≦e をもとに考えてみると
I_(n+1)/(n+1)=e/(n+1)-I_n なので
I_n=e/(n+1)-I_(n+1)/(n+1) から I_n<e/(n+1) は示せます。
左側も京大の問題と同じように
I_(n+2)=e-(n+2)I_(n+1) とやりたいところですが,うまくいきません。
なので少し着眼点を変えます。(n+2)を作り出すには,
・添え字を上げる 以外に
・もう1つI_nの項を作り上げる
ことがありえます。なので,
仮に I_n>e-(n+1)I_n ならば I_n>e/(n+2) がいえます。
よって,I_(n+1)<I_nが示されれば,左側も示すことが出来ます。
I_n-I_(n+1)=∫[0,1]x^n*e^x(1-x)dx>0 なので,示されました。

以下のような問題もあります。難問です。

ⅵ)名工大
数列c_nは
1≦c_n<2,∫[c_n,2]logxdx=1/n * ∫[1,2]logxdx …★
を満足する。 lim[n→∞]n(2-c_n)を求めよ。

なんとかして(2-c_n)を引きずりださなければなりません。
ここで②の発想を使います。
(2-c_n)logc_n≦(左辺)≦(2-c_n)log2 が成立するので,
n(2-c_n)logc_n≦2log2-1≦n(2-c_n)log2
よって
(2log2-1)/log2≦n(2-c_n)≦(2log2-1)/logc_n
n→∞のときc_n→2から 挟み撃ちの原理より
n(2-c_n)→2-(1/log2) に収束する。

ちなみに平均値の定理でも解けますが,発想としては同じことです。
スポンサーサイト

コメント

非公開コメント

プロフィール

yks

Author:yks
受験生の頃に書いた
京大数学の考察・受験数学の解説・数学の勉強法・参考書のレビュー
を残しています.メインは受験数学の解説です.少しでも受験生に役立てば幸いです.
(最新2つの記事がまとめ記事になっています)
今は管理人は大学生ですが,受験数学についてでしたら答えれますので,質問などあればコメントしていただければと思います.
これからは数学について適当に投稿していこうと考えています.
数式を気軽に投稿できるblogってないんですかね?


最新記事
検索フォーム
リンク
カテゴリ
月別アーカイブ
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。